では、どのような手順でWBSを作ったら、役に立つWBS作れるのでしょうか…?
WBSを作ってみたんだけど、これって意味あるの…?
あなたには、頑張って作ったWBSが役に立たなかった経験はありませんか?
実はネットで紹介されているWBSの作り方では、使えるWBSは作れません。
一番大事な『ある工程』をやっていないので、ヌケモレが多いWBSになってしまうからです。
このことを知らないと、長い時間をかけて無駄なWBSを作ることになり、残業するハメになってしまうんですね。
でも、本記事でご紹介する方法でWBSを作れば大丈夫です。
狙った成果を出せるWBSを作れるようになるので、うまく仕事を進めていけるようになりますよ。
気になるところへGO!
WBSが役に立たない理由
WBSとはWork Breakdown Structureのことで、次の図の左側のように、仕事の作業を順番に書き出したものです。
このWBSの作り方として、次のような方法がよく紹介されています。
- 作業の洗い出し
- 作業の順序立て
- 作業の構造化
しかし、残念なことに、この方法で作ったWBSは役に立たないのです。
なぜ、先ほどの作り方で作ったWBSは役に立たないのかというと、最初に積み上げ式で作業を洗い出しているからです。
積み上げ式とは今の状態から取り組む作業を洗い出していく方法で、この方法でWBSを作れば、上手くいきそうなWBSができあがります。
しかし、この方法で作ったWBSには、『洗い出した作業』と『仕事のゴール』が結びついていないという大きな問題があるのです。
WBSは納期を守りつつ、仕事で求められている成果を出すためのツールです。
しかし、仕事の進め方が分かっていない状態でWBSを作ってしまうと、間違った成果を出すWBSになってしまう可能性があります。
そのような状態にもかかわらず、作業の洗い出しを始めてしまうと、必要そうな作業をなんとなく積み上げて作ったWBSになってしまうのです。
その結果、間違った作業やヌケモレが発生してしまい、WBSの作業を全てこなしても欲しい成果が得られない状態になってしまいます。
使えるWBSを作るためにやるべきこと
役に立つWBSを作るためには、最初にある事をすればOKです。
それはステップゴールの作成。
ステップゴールとは途中成果のことで、次の図のようなイメージになります。
この例は、『たまご』から『にわとり』になるまでの経過を表した図です。
あなたもご存じの通り、『にわとり』になる前は『ひよこ』になります。
この『ひよこ』こそが途中成果であるステップゴールになるのです。
ステップゴールを作ると、『ステップゴールを達成するために必要な作業は何か?』という視点を持つことができます。
その結果、ゴールから逆算して作業を洗いだせるようになるので、成果に結び付くWBSになるのです。
プロジェクトの目標に完全に適合した必要なすべての作業を確実に網羅するためには、トップダウン的アプローチが適している。
これが正しい作り方なんですね~
WBSの本当の作り方
- 事前準備
(ゴールイメージの明確化) - ステップゴールの作成
- 作業の洗い出し
- 作業順の確認
①事前準備をする
事前準備として、まずは仕事のゴールイメージを明確にすることが必要です。
ゴールが不明確な状態でWBSを作り始めると、正しい作り方を学んでも『間違った成果を出すWBS』を作ってしまう恐れがあるからです。
このような致命的なミスをしないように、次の記事の方法で事前に仕事のゴールイメージをしっかりすり合わせておきましょう。
なお、本例では仕事のゴールイメージを『来月末までにマニュアルの自動車を運転できる状態』とします。
②ステップゴールの作成
ゴールイメージを確認したら、ステップゴールを作っていきます。
ステップゴールは箇条書きで作っていくのがオススメです。
まずは次の図のように、下側に現状、上側にゴールイメージを書き出してください。
なぜ、現状も書き出す必要があるのかというと、現状によって『やるべきこと』が変わるからです。
例えば自動車免許を取るために受ける学科試験は、原付の免許を持っている場合は免除になるイメージになります。
続いては重要なステップゴールを設定していきます。
ステップゴールを作るためには、ゴールから逆算して『ゴールの一つ前の状態』を書き出していけばOKです。
車の免許を取るケースを考えていきましょう。
まずはゴールイメージとなる『来月末までにマニュアルの自動車を運転できる状態』の前段階を考えていくのです。
マニュアル車を運転する前の状態は、もちろん『普通自動車免許を取得した状態』ですよね?
そして、普通自動車免許を取得するためには学科試験に合格する必要があるので、『普通自動車免許を取得した状態』のひとつ前は『学科試験に合格した状態』になると言えます。
また、学科試験に合格するためには、受験資格を手に入れなければなりません。
そのためには『教習所を卒業した状態』になることが必要なので、これもステップゴールになるのです。
そして、教習所を卒業するためには、『仮免許を取得した状態』になって、路上教習をクリアする必要もあります。
このような感じで、引き続き『仮免許を取得する前の状態』を考えていけば、最終的に現状と繋がるステップゴールを作ることがでるのです。
なお、ステップゴールを完璧に仕上げる必要は全くありません。
あまりに細かくステップゴールを作ると作業を洗い出すことになってしまうからです。
仕事の流れをきちんと把握した上で、作業を洗い出せる状態になればいいので、仕事の進め方のイメージが湧いたら、作業の洗い出しに移りましょう。
③作業を洗い出す
ステップゴールを作ったら、作業の洗い出しを行っていきます。
『ステップゴールを達成するために必要な作業』を考えていくのです。
例えば『学科試験を合格した状態』から『免許を手にいれた状態』になるためには、免許発行手続きを終わらせる必要があります。
つまり、次のステップゴールを達成した状態になるためには『免許発行手続き』が必要になるのです。
続いて『学科試験に合格した状態』になるためには、試験勉強をしっかりと行ってから、免許センターで学科試験を受ける必要があります。
他にも、試験や免許の発行に必要なものを準備しておく必要がありますし、受験申請も必要になるのです。
このように逆算して考えていけば、『教習所を卒業した状態』から『試験に合格した状態』になるためには、次の作業が必要であることがわかります。
- 免許センターに行って試験を受ける
- 試験勉強をする
- 試験に必要なものを準備する
- 試験に必要なものを調べる
- 受験の申請をする
あとは同様に、『仮免許を取得した状態』から『教習所を卒業した状態』になるために必要な作業を考えていきます。
『教習所を卒業した状態』になるためには、卒業検定に合格することが必要です。
その卒業検定を受けるためには、路上教習と講義を全て修了してから、卒業検定の受験申請をしなければいけません。
このように『次のステップゴールを達成するために必要な作業』を考えていけば、作業を洗い出すことができます。
そして、一通り作業を洗い出せたら、『さらに分解が可能な作業』を探していきましょう。
例えば、試験対策はテキトー勉強してもあまり効果がありません。
勉強する前に『問題の出題範囲や傾向を調べる』ことをしないと、時間をムダにしてしまう可能性があります。
受験の申請も同じです。
作業を細かく分解していけば、『申請書を入手』→『申請書に記入』→『必要書類の提出』→『支払い』という作業に分けられることも予想がつきますよね?
このように作業を細かく分解していき「もう分解できない!」と思うまで作業を分解してください。
WBSの目的は『作業を終えれば欲しい成果が出る状態にすること』なのですから、めんどくさくても必要な作業を分解していきましょうね。
④作業順とヌケモレの確認
作業の分解が終わったらガントチャートの左側に洗い出した作業を転記していきます。
その際は作業順を意識して転記してください。
転記が完了したら、その作業にかかる時間を見積って記入しておけばWBSは完成です。
あとは作業のヌケモレがないか確認して問題がなければ、WBSを使いながら仕事を進めていきましょう。
なお、WBSを流用して計画管理ができるガントチャートを作れば、簡単に進捗管理をすることができます。
まとめ
以上がWBSの本当の作り方になります。
ステップゴール無しでWBSを作ることは、スキーのジャンプ台を一輪車で登るくらい大変なことです。
しかも、役に立たないWBSしか作れないのですから、努力が水の泡になってしまいます。
そんな大変な思いをしたくないのであれば、ぜひWBSを作る前にステップゴールを作ってみてください!
きっと、いままでよりすんなりと役に立つWBSを作れるようになりますよ。
- 積み上げ式で作ったWBSは使えない
- 一番最初にステップゴールを作ることが何よりも大事
- ステップゴールを作れば、逆算して作業を洗い出せるので、成果に紐付いたWBSになる