納期を守る手助けをしてくれるPERT図の特徴と作り方とは…?
仕事の締切に間に合わない…
あなたには、がんばって仕事をしたのに締め切りに間に合わなかった経験はありませんか?
仕事の締め切りを守るためには、計画的に仕事を進めることが大切です。
しかし、いくら時間をかけて計画を作っても、計画通りに進まないことってありますよね?
でも、本記事でご紹介する『PERT図』を使えば大丈夫です。
PERT図を使えば仕事の重要なポイントを掴めるので、締切に間に合うように仕事を進めることができますよ。
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PERT図とは?
『PERT図』とは、Program Evaluation and Review Techniqueの略で、『仕事のゴールを達成するために必要な作業を書き出した図』を意味しています。
さっそく、具体例を見てみましょう。
こちらがPERT図の基本形である『アローダイヤグラム』です。
少し複雑そうに見えるこの『アローダイヤグラム』ですが、実はルールが1つしかないシンプルな図になっています。
状態(〇)を順番に並べて矢印(→)で結び、作業の内容と作業時間を記入する
先程の例であれば、『⓪から①の状態になるためには、5日間かかる作業Aが必要』といったイメージですね。
このような情報をつなぎ合わせて作った計画がPERT図になのです。
次の図はオムライスの作り方をPERT図にしたものです。
まずはこのPERT図を見て、どのようなオムライスができあがるか想像してみてください。
PERT図はゴールを達成するまでの状態をつないで作った計画です。
そのため、PERT図を読み進めれば、『青虫』→『サナギ』→『チョウチョ』というように、『作業で生み出される成果』を段階的に知ることができます。
つまり、最後の『○』まで読み進めれば、仕事で求められている成果が分かるようになっているのです。
PERT図の最大の効果は『クリティカルパス』
PERT図には『仕事を正しい方向に進められる』という特徴以外にも、大きなメリットがあります。
それは遅れてはいけない作業がわかるということ。
PERT図には作業にかかる時間も記入していくので、『仕事が終わるまでにかかる最短時間』が分かるようになっているんです。
次の図は、先ほどのオムライスのPERT図を3つのルートに分解したものです。
ここで注目するのは各ルートにかかる時間です。
ルートに記された作業時間を足し合わせていけば、ルートごとの最短時間が分かるようになっています。
この一番時間がかかるルートCは、オムライスを作る上で一番重要な工程になります。
なぜなら、ルートCの作業が少しでも遅れると、オムライスの完成自体が遅れてしまうことになるからです。
ご飯を炒めるときにご飯が炊けていなければ、他のルートの作業もどんどん遅れていくことになってしまいます。
このような仕事にかかる時間(=納期)を左右するルートのことを『クリティカルパス』といいます。
クリティカルパスの定義に関しては、CA Techinologies社の相場氏の説明が一番わかりやすいでしょう。
クリティカルパスとは、プロジェクトを計算された終了日に完了させるために、遅延させることが許されない一連のタスクのこと
つまり、仕事にかかる時間を左右するクリティカルパスの作業を計画通りにこなせば、仕事の締め切りを守れるようになるんです。
クリティカルパス以外のルートの作業は同時並行で進めていきます。
オムライスのケースであれば、ご飯を炊いている間の50分間も炊飯器につきっきりになる必要はありません。
その間に別の作業を進めておけばいいのです。
もちろん、同時並行で作業を進めるのが困難な場合もあると思います。
その場合は、少し余裕を持たせた納期を設定したり、他の人の力をかりたりして仕事を進めましょう。
そうすれば、同時並行がうまくいかなくても、締切に間に合わせることができるようになります。
PERT図の作り方
PERT図の作り方をざっくり言うと、仕事を分解して並べていくイメージです。
具体的には次のような手順になります。
- 工程を分ける
- 状態と作業を考えて並べる
- 合流地点を考えてつなげる
- 見積時間を記入する
作成手順①工程を分ける
まず最初に行うのは『大きく工程を分ける作業』です。
先ほどのオムライスのPERT図をもう一度見てみましょう。
このPERT図を見れば、次の4色の工程があることが読み取れると思います。
- 青:オムレツを作る作業
- 緑:チキンライスを作る作業
- 橙:米を炊く作業
- 紫:仕上げ作業
PERT図を作り始める際は、この工程(ルート)が何本あるかを最初に考えていきましょう。
なお、工程を考える際には、あらかじめ仕事で求められているゴール(成果)を明確にしておく必要があります。
なぜなら、求められているゴールから逆算して工程を考えていくからです。
先程のオムライスのPERT図のゴールを、もう一度思い出してください。
このPERT図のゴールは、『鶏肉とご飯を炒めて作ったチキンライスにオムレツを乗せてケチャップをかけたオムライス』でしたよね?
ゴールが明確になっているのであれば、ゴールを表す文章から『構成している要素』を抜き出していきましょう。
オムライスの例の場合、オムライスのゴールには次の4つの要素があることを読み取ることができると思います。
- ごはん
- チキンライス(鶏肉)
- オムレツ
- ケチャップ
オムライスはこの4つの要素が組み合わさってできる料理(成果)なので、この4つの要素がルートの本数になるのです。
作成手順②状態と作業を考えて並べる
工程を分けることができたら、ゴールから逆算して状態(〇)と作業を考えていきましょう。
オムレツの工程であれば『オムレツをチキンライスに乗せた状態』→『オムレツを焼いた状態』→『オムレツを焼く準備ができた状態』というように、逆算して状態を考えていくのです。
状態をピックアップすることができたら、『状態を達成するための必要な作業』を考えていきます。
こちらもゴールから逆算して考えていきましょう。
そうすることで、「オムレツを作るためには卵を焼かないといけないし、その前に卵を溶いておく必要があるな」というように、芋づる式に作業を抽出することができます。
このような感じで『状態と作業』を抽出したら、順番を確認しながら『状態(〇)』を矢印でつないで作業を記入していきましょう。
そうすれば、次のような独立した4本のルートができあがるはずです。
作成手順③合流地点を考えてつなげる
独立したルートを作り上げたら、次は『工程の合流地点』を考えていきます。
というのも、PERT図の最後の『〇』の個数は『生み出す成果の数』と同じになるからです。
今回のように1つの成果(オムライス)を生み出す場合は、全ての工程は1つにつながることになります。
合流地点を考えるときのポイントは、『この工程の成果がないと始められない作業』を探すことです。
オムライスの場合は、ご飯がないとチキンライスを炒められませんし、オムレツをチキンライスに乗せないと仕上げのケチャップをかけられませんよね?
そのため、合流地点は次の図の太い矢印のようになります。
PERT図の左側の合流地点が明確でない場合もあると思います。
そのような場合は、スタート地点で合流させればOKです。
合流地点が明確でない工程は最初から同時並行できることを意味しているので、適当にまとめてしまっても問題ありませんよ。
作成手順④時間を見積もって記入する
PERT図の大枠が完成したら、あとは仕上げです。
作業の見積時間を記入していきましょう。
- 似たような業務の経験から見積る
- 先輩に作業時間の見積を聞いてみる
- ネットで調べる
特に仕事の内容が分からない若手であれば、先輩に時間を見積もってもらう方法が効果的でしょう。
なぜなら、先輩は似たような仕事を経験していることが多いからです。
しかし、先輩はあなたより仕事が早いことが多いので、『先輩の見積時間×1.2』というように作業にかかる時間を微調整してください。
なお、時間には少し余裕を持たせておくことをオススメします。
見積時間が完璧だとしても、突発業務や体調不良などの『予想外の問題』にぶち当たる可能性があるからです。
時間に少し余裕をもたせておけば、多少の遅延が起きても計画を修正する手間を減らすことができます。
PERT図ができあがったら、最終チェックをしていきます。
まずは、クリティカルパスの確認です。
PERT図は納期を守るための計画なので、一番重要なクリティカルパスの作業と時間を確認していきます。
クリティカルパスの確認が終わったら、計画全体の作業の順番や時間に矛盾がないか確認してください。
その際、クリティカルパスと同時並行で進めることが難しい工程があるかもチェックしましょう。
ムリな計画になっている場合は、必ず納期にゆとりを持たせるようにしてくださいね。
PERT図は最短の納期を算出するのが目的ではなく、納期を達成することが目的です。
なので、多少のゆとりを計画に持たせることは悪いことではありません!
背伸びした納期を提示して、納期を破ることの方がはるかに印象が悪いので、注意しましょう!
なお、PERT図が完成した後は、進捗管理のためにガントチャートを作っておくことをオススメします!
本サイトではガントチャートのエクセルテンプレートもご紹介していますので、あわせて活用してみてください。
まとめ
仕事の締め切りに間に合わないことで悩んでいるそこのあなた。
ぜひご紹介したPERT図を作ってみてください。
クリティカルパスが分かるようになれば、仕事の優先順位も自然と決まってきます。
仕事の重要なポイントをつかめれば、ビックリするくらい効率的に仕事を進められるようになりますよ。
- PERT図とは『仕事のゴールを達成するために必要な作業を書き出した図』
- PERT図のルールは『状態(〇)を並べて矢印で結び、作業内容と作業にかかる時間を記入する』だけ
- PERT図を使えばクリティカルパスが分かる
- PERT図の作成手順
①工程を分ける
②状態と作業を考えて並べる
③工程の合流地点を考えてつなげる
④時間を見積って記入する