果たしてこの噂は真実なのでしょうか…?
「4月から6月までは残業しないほうがトクをする」って聞いたんだけど本当なの…?
あなたも、このような噂を聞いたことはありませんか…?
私も新入社員の頃、この噂を聞いて『本当かよ!』と思っていたのですが…
詳しく調べると、この噂は『半分が本当』で『半分が嘘』であることが分かったのです。
本記事ではこの噂の正しい点と間違っている点をご説明いたします。
本記事を読めば、この噂を鵜呑みにしている人よりトクをすることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
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4月から6月の残業を控えると社会保険料は安くなる…?
『4月から6月までは残業しないほうがトクをする』という噂ですが、この噂は半分あたっています。
というのも、4月から6月の残業代を減らすことは、社会保険料が上がるのを防ぐことにつながるからです。
20~30代の会社員の場合、『健康保険』と『厚生年金』の2つの社会保険に加入していることでしょう。
40歳以上であれば、さらに『介護保険』に加入しているはずです。
そして、これらの社会保険の料金は『標準報酬月額』によって決められています。
標準報酬月額を求めるためには、まず次の式で『報酬月額』を算出します。
『基本給』+『交通費』+『諸手当』
この報酬月額の4月から6月の平均値が『標準報酬月額』になるのです。
社会保険料本人負担分をみると、給与所得者の場合、給与所得控除や人的控除などの所得控除を認めずに、収入に比例する保険料率で賦課される
このように報酬月額は『基本給』『交通費』『諸手当』の合計になります。
しかも、基本給と交通費は昇給や引っ越しをしない限り変わりませんよね。
なので、あなたが支払う社会保険料は、諸手当によって変化すると言えるです。
中でも重要なのは『残業手当』。
手当の中でも金額の変動が一番大きいからです。
残業が無ければ関係ありませんが、残業が多い月だと10万円を超えることだってあります。
この残業手当が増えてしまうと、標準報酬月額が増加して、社会保険料が上がってしまうことになるのです。
このような背景から、4月から6月の残業代を抑えたほうがトクをするのは事実であるのは間違いありません。
諸手当には残業手当以外にも住宅手当・休職手当・単身赴任手当・当直手当などが含まれます。
結婚出産祝い金や出張旅費、年3回までの賞与は含まれませんので、これらの金額は除外して報酬月額を算出してください。
この噂の間違っている点とは…?
先ほど申し上げた通り、この噂には間違っている部分があります。
それは、残業を抑えるべき期間です。
結論から言ってしまうと残業を控える時期は『4月から6月』ではなく、『3月から5月』になります。
これは会社の給料のシステムを考えれば、納得していただけるでしょう。
あたり前ですが、給料がもらえるのは毎月の給料日です。
しかし、これらの給料日は15日や25日のように、月末でない場合がほとんどでしょう。
そのため、月ごとに集計する残業代などの手当は、その月の給料日に間に合わせることができないのです。
先ほど社会保険料を抑えるためには、4月から6月の残業手当を抑えることが重要だと述べました。
では、4月から6月の残業手当はいつの残業に対するものなのでしょうか…?
ご明察の通り、4月から6月の残業代は3月から5月の残業に対する報酬です。
つまり、4月から6月までの残業手当を抑えるためには、3月から5月までの残業を控える必要があります。
このような理由から、噂の『残業を控える時期』に関しては間違っていると言えるのです。
残業をすると社会保険料はどれくらい変わるのか?
噂の点で1つ気になるのが、『どれくらい社会保険料に差が出るのか』という点だと思います。
これは地域や残業手当の額によって変わるのですが、結論から言えば1年間で数万円から数十万円の差が生じます。
具体例を見ていきましょう。
ここでは、3か月の報酬月額が24万円のケースを考えていきます。
次の表を見てください。
この表は東京都の令和3年度の社会保険料算出表になります。
『3か月の報酬月額の平均値』が表の『報酬月額』のどこに位置するかを確認すれば、社会保険料の金額が分かるようになっているのです。
3か月の報酬月額の平均値が24万円の場合を考えてみましょう。
このケースでは報酬月額が23万以上~25万未満に該当するので、標準報酬月額は24万円になります。
等級で言えば『19-16』になるのです。
この等級の場合、健康保険料は11,808円、厚生年金保険料は21,960円になるので、毎月36,582円の社会保険料が給料から天引きされることになります。
では、毎月5万円の残業をした場合を考えてみましょう。
この場合、報酬月額は29万円になるので、等級は『22-19』になります。
つまり、社会保険料が42,210円になるのです。
3等級の変化で大体6,000円の変化が生じるので、1等級変われば月額2000円程度の差が生じると考えておきましょう。
まとめ
以上が『4月から6月は残業しない方が得をする』という噂の検証結果です。
社会保険料を抑えられるのは事実ですが、残業する時期は間違っているので気を付けましょう。
適度に残業して、等級が上がらないギリギリを狙えば、社会保険料を上げずに残業代を手に入れることができます。
どのくらいまで残業できるのかを事前に計算しておき、節税+残業代をゲットできるようにしておくのがオススメです。